お盆になると賑やかだった祖父母の家 夏の匂い①

家の記憶

祖父母の家は、曽祖父母が亡くなる前まで七人で暮らしていた。
それでも、いつも静かな家だった。

床が高く、夏は風が通って涼しい。
冬になると、底冷えのする家でもあった。

祖父母の家には、二種類の廊下があった。
外廊下と内廊下である。

外廊下は主にお客様が通る廊下だった。
この家を訪ねる人は、玄関を入ってすぐ右の応接間に通されるか、応接間を抜けて外廊下を進み、二間続きの和室へ案内された。

内廊下は家族と親戚が使う廊下だった。
内廊下を通って台所兼ダイニングへ行くと、大きなダイニングテーブルを囲んで親戚たちが思い思いに話し始める。

六脚の椅子では足りなくなると、部屋の隅に重ねられている赤い丸椅子を持ってきて、それに座った。

いつもは静かなこの家も、お盆と正月だけは違った。
内廊下を通ってくる足音と、大きな話し声、笑い声で満ちていく。

人が増えてくると、子どもたちはだんだん居場所を失う。

四人の子どもは、離れに住む一番年長の従姉妹の部屋へ、ぞろぞろと歩いていった。

渡り廊下の奥にあるその部屋には、一つの決まりがあった。
勝手に扉を開けてはいけない。

二回ノックして、「入ってもいいですか」と聞く。
「いいよ」と中から従姉妹の声がしたら入ってよい。

従姉妹が不在のときや、部屋の中から従姉妹の「だめ」という返事が聞こえた時は、入ってはいけない。

部屋に入れないときは、庭で遊ぶしかない。

日本庭園、芝生の庭、裏庭、
そして様々な木々が植栽された「おつぼ」。

遊ぶ場所はいくらでもあるのに、思いつくのは追いかけっこか、高鬼くらいだった。

だんだん薄暗くなってくると、
母か叔母、あるいは年長の従姉妹が「入っておいで」と声をかけにくる。

たいていは従姉妹だった。

笑いをこらえたような、少し真面目な顔をしてやって来る。
そういう時は、従姉妹がとびきりの遊びを用意しているときだった。

玄関を出て、芝生の庭をまっすぐこちらへ歩いてくる従姉妹の姿。

その光景を、私は今でも思い出すことができる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました